認知症の父が火傷!|家庭で起きた“高齢化社会の現実”

家族と暮らし

いつもは“カラスの行水”の父が、この日に限ってなかなか出てこない。不審に思いお風呂を覗くと――右膝から下が真っ赤に腫れ、皮膚が剥がれていた。「失敗したー!」と慌てる父。認知症を抱える高齢者の日常に潜む危険を、まさか自分の家で目の当たりにすることになるとは。看護師であり娘としての私が、その日経験した“火傷事件”を通して、今の日本が抱える課題を考えます。

いつもと違う父の様子に、嫌な予感

お風呂好きでもない父が、なかなか出てこない。不審に思い覗いた瞬間、「失敗したー!」と焦る声。見ると、右膝の皮膚は剥がれ、膝下全体が真っ赤に。

私はすぐにラベンダーの精油を手に取りました。反応が治るまでヒーリングも行いました。ヒリヒリした痛みが和らぎ、父も落ち着きを取り戻します。この判断には、私自身の過去の経験がありました。数年前、自分の腕に重度の火傷を負ったとき、ラベンダー精油でケアし、感染も起こらず、痛みも少なく、きれいに治癒したのです。

そのとき使用したのが、混じり気のない医療レベルの精油(ドテラ製)。品質が確かなものだからこそ、家庭でも安心して使えた――その実体験があったため、今回も迷わず用いました。

すぐに冷却と保湿、乾燥予防のためにラップで覆い、その夜は痛みを訴えることもなく眠りにつけました。

原因は“ボイラーとシャワー”の混同

古い日本家屋のお風呂はボイラー式、シャワーは給湯器。この二重構造が認知症の父には理解しづらく、シャワー使用時にもついボイラーのタイマーを回してしまいます。その結果、お湯が“たぎる”ほどの高温に達し、それを足にかけてしまったのです。さらに、ごしごし拭いてしまい水泡を破り、皮膚は剥離。

翌日、包帯を外すと下腿全体に無数の水泡。「これは私でも無理」と判断し、半日年休を取り形成外科へ。父は火傷の事実を忘れており、「これくらいで病院に行かんならんのか!」と拒否しましたが、包帯を外して見せ、ようやく受診に同意してくれました。

現場でも増えている“認知症による二次被害”

形成外科では幸い、感染徴候はなく、飲み薬も不要で処置のみ。仕事の都合で毎日通うのは難しいため、看護師であることを伝え、在宅での処置継続となりました。

この出来事を通して痛感したのは、「認知症による二次被害」の多さです。私の勤務する病院でも、次のような事例が増えています。

  • 電気あんか・カイロ・湯たんぽなどによる低温熱傷
  • 小さな擦り傷や虫刺されからの蜂窩織炎(ほうかしきえん)
  • 服薬ミス、転倒、誤嚥など日常動作に伴う事故

これは特別な話ではなく、高齢化が進む日本社会の縮図です。認知症ケアには医療だけでなく、生活環境・介護体制・地域の見守りが一体となった支えが求められます。

家庭内に潜む“見えない危険”と向き合う

認知症のある高齢者にとって、慣れたはずの自宅にも危険が潜みます。長年の習慣や操作手順の混同が、日常の事故につながることもあります。見守り機器やセンサーなど技術の助けは増えていますが、最も大切なのは家族の「気づき」と「寄り添い」。わずかな違和感に気づいて声をかける――それが重大事故を防ぐ第一歩です。

今日は加齢黄斑変性症の受診日。移動は車椅子。認知症との日々の闘いは続きますが、できるだけ穏やかに過ごせるよう、家庭と医療のあいだで工夫を重ねていきます。

まとめ

今回の火傷は家庭内で起きた“小さな事件”でしたが、その背景には日本の高齢化社会が抱える課題がくっきりと浮かび上がっています。認知症がもたらす事故と、その後のケアを担う家族の負担。これは多くの家庭で起きている現実です。

看護師として、そして娘として――今日も父の足に包帯を巻きながら、「この命を、できるだけ穏やかに守りたい」と願っています。

※本文は私個人の体験と判断過程の記録です。精油の使用は体質や状況により適否が異なります。やけど時の基本は迅速な冷却と医療機関の受診であり、自己判断に不安がある場合は医療者に相談してください。